サウンドカードにMIDIドータボートを強引に取り付け

最初のページ作成:2002.9.1

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■MIDIファイルについて(前置きその1)

楽器、MIDI音源、サウンドカードなど、MIDI対応音源にデータ作成して、音楽を再生することができる。そのMIDI音源用に作られたファイルがMIDIファイル(拡張子MID)である。以前ほど人気はないが、今でもお目にかかることがあるだろう。

そのMIDIファイルだが、元々は音色がメーカーによってバラバラだったため、自分が作成したファイルを他のところでは全然違うものに聞こえたりする問題が起こって、統一規格としてGM規格が生まれた。しかしこれは基本的な音色しかないため、細かい音色を表現するのが困難で、各社が独自に拡張した規格がでてきた。最も普及したのがローランド社のGS音源で、ヤマハが遅れてXG音源を出してきた。

■MIDIファイルの再生環境について(前置きその2)

MIDIファイルを再生するためのいろいろな環境を列挙してみた。

・外部音源

本格的にハードウェアでMIDIファイルを再生するとなると、さすがに違う。臨場感そして音質もすばらしい。ステレオにつなげば最高だ。しかし高価な外部MIDI音源を使う必要がある。PCからコントロールするためにMIDIケーブルを接続したり専用にアンプをつないだりとお手軽に聴くことはできない。製品としてはヤマハやローランドなどから出ている。最近の電子楽器にはMIDI入力端子が付いているものがあるので、PCに接続してやってもいい。

・ソフトウェアMIDI音源

ハードウェアを必要とせずにローランドやヤマハなどの音源を再現するためのソフトウェアである。

製品として発売されているもの(メーカー製PCには最初からインストールされていたり、サウンドカードに付属していることがある)や、フリーウェアやシェアウェアとして入手できるものもある(例えばWinGroove)。これらはお手軽なのだが、外部音源を知っている者にとっては今ひとつと感じられる場合もあるだろう。ところで、WinGrooveはMIDIファイルをwaveファイルとして保存する機能もあるので今でも重宝している。

Windows98/Meは、サウンドカードのドライバにはVxdタイプとWDMタイプの2種類が存在する。このときWDMドライバを組み込めば、ローランド社からマイクロソフトがOEMを受けたGS互換のソフトウェア音源が動作するが、相当貧弱だったりする。

・サウンドカード単体

サウンドカードには、最低限の機能としてFM音源がついている。これは音楽を再生するには非常に貧弱、昔のゲーム専用マシン程度で、「とりあえず鳴る程度」と考えておいた方がいいだろう。

サウンドカード用チップには、チップに内蔵されたハードウェア的な音源で、外部MIDI音源を使ったものに迫る高品質で再生できるものがある。よく知られているのにはYAMAHAのYMF-724/744/754のチップは、XG音源としてMIDIファイルが再生できる。相当高品位で再生できるので、単体で使おうという人にはおすすめである。

・サウンドカード + MIDIドータボード(実はここが後にメインのお話へと・・・)

サウンドカードに、※MIDIドータボードというハードウェアMIDI音源モジュール(外部MIDI音源相当)を取り付けて、外部MIDI音源相当の音質で再生しようとするものである。MIDIドータボードにもよるが、高品質で安定した再生が可能である。
※MIDIドータボードについて
その昔、サウンドカード標準だった SoundBlaster16 には、オプションとしてハードウェア的にMIDIを再生させるための WaveBlaster というドータボードを付けることができた。他社のサウンドカードも同じ仕様のコネクタを実装して、同様なMIDIドータボードが発売されてきた。最初からMIDIドータボードを付けられて販売されたサウンドカードさえある。

ところが現在、最初からMIDIドータボードを付けるコネクタが付いているものはほとんど見かけなくなってしまった。それどころがMIDIドータボードすら見かけなくなってしまった。

■無理矢理サウンドカードにMIDIドータボードを接続するには(本題)

前置きが長かったが、実はここからが本題なのである。

・お気に入りのサウンドカードとMIDIドータボードが接続できない

私が使っているサウンドカードはYMF-754チップを使ったLabway社のXwave6000というもので、お気に入りだ。光デジタル入出力端子が付いていて、スカパーをデジタル録音するのに活用している。もちろんXG音源が内蔵されていて、そこそこ満足のいく音質でMIDIファイルが再生できる。しかし、手持ちのMIDIファイルがローランド社のGS音源用に作られたものが多いためか、この音はどうもなじめない。

それなら昔使っていたローランドのMIDIドータボード(※SCD-15)を使いたいのは山々なのだが、接続するためのコネクタが付いていないので実現できない・・・・・

※SCD-15について
ローランド社はSCD-15というMIDIドータボードを海外で販売していたのだが、7年ほど前にはNIFTYの会議室などで相当話題になって逆輸入した人も多かった。私もその一人で、アメリカのオンラインショップ(当時はインターネットではなく、パソコン通信)で1万5千円ほどで購入した。SoundBlaster16に実装して聞いたが、SC-55やさすがに当時主流のGS音源だけあって音色は満足、PC単体で聞けるので重宝したものだ。しかし当時のサウンドカード自体がノイズをあまり考慮していないため、せっかくのMIDIドータボードからの音もノイズに紛れて、ヘッドホンでの使用は結構つらいものがあった。

・MIDIドータボードが必要とする信号や電源

それなら・・・ということでWEB上で資料を探した。MIDIドータボード(WaveBlaster)のインターフェースなどいろいろと参考になるところが多数見つかった。特に参考になったのは次のところ。

MIDIドータボード(ヤマハDB50XG)を外部MIDI音源にするためのアダプタ製作。
http://atari.nvg.org/db50xg/ 

どんなMIDIドータボードでもどのようなサウンドカードにも接続することが可能であることがわかった。ただし半田付けに自信がないと駄目だ。具体的には次の回路を見てもらいたい。MIDIドータボードが必要としている信号や電源をサウンドカードなどから接続してやればいいのだ。

・MIDIドータボードとサウンドカードとの接続

具体的にMIDIドータボードが必要とする信号や電源を、サウンドカードなどのどこから取り出すかまとめてみた。

+12V サウンドカード上、+12Vが出ているところ(PCIバススロットのA2エッジ)に半田付けして接続
+5V サウンドカード上、+5Vが出ているところに半田付けして接続。PCIバススロットやゲーム/MIDIポートコネクタから取り出せる
-12V PCIバススロットのB1エッジ(-12V)に半田付けして接続。サウンドカード自体にはこのエッジがなかったので、隣のPCIスロットで使用しているLANカードから取り出した
LEFT OUT サウンドカード上、AUXの内部コネクタに接続。CD-ROMオーディオケーブルを切断したものを使Iっている
RIGHT OUT サウンドカード上、AUXの内部コネクタに接続。CD-ROMオーディオケーブルを切断したものを使っている
RESET GROUNDに落とせばリセットされ、通常は何も接続しないでいいのだろうが、コンデンサと抵抗で構成した参考のサイトの回路を使った
MIDI IN サウンドカード上、ゲーム/MIDIポートコネクタの12番ピンが接続されているパターンに半田付けして接続
GROUND サウンドカード上、グラウンドに半田付けして接続。1〜11の奇数番号はオーディオグラウンド、13〜25の奇数番号はデジタルグラウンドで、分離した方がノイズ的に有利のはずだが、ひとまとめにしても特に問題なかった

ここまで分かれば、いざ配線である。

MIDIドータボードとの接続は、ヘッダーピンを用意して、適当な長さのビニル線で配線し、ドータボードのコネクタに差し込んだ。10KΩの抵抗と、10uFの電解コンデンサはヘッダーピン上での空中配線である。オーディオ出力のみ、CD-ROMドライブのオーディオケーブルを切断したものを半田付けして、サウンドカードのAUXコネクタに差し込んだ。ヘッダーピンを使うことで別のドータボードにも抜き差しすることで簡単に交換できる。



ドータボード自体はPCケースの底辺に両面テープでショートしないように貼り付けて固定している。本当に適当だなぁ・・・(;´Д`)y-~~

・接続し終わって視聴

さて、接続したMIDIドータボードを使えるようにWindows Meで設定してみる。コントロールパネル > サウンドマルチメディア > オーディオ を選ぶ。その中に MIDI音楽の再生 という項目があるので、優先するデバイスを「DS-XG MP401 OUT」を選択してやればいい。今回はサウンドカードの内部AUX端子に接続しているので、ボリュームコントロールのAUXが上がっているのも確認する。

このMIDIドータボード、久しぶりに聞いてみると、さすがにローランドのハードウェア的なGS音源。以前からいくつかローランド社の外部GS音源を使ってきた私にとっては、好みの音で満足できる。さらに最近のサウンドカードは非常に廉価なものでも低ノイズ化されてヘッドホンで聴いてもクリアに聞こえるのがうれしい。

このサウンドカードは、XG音源、さらにGS音源が実装され、光デジタル入出力もありと、最強に変身したのだ。


 

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